2005年07月31日

ロード・トゥ・パーディション



親父とはかくあるべし
 ポール・ニューマンという銀幕においての伝説のスターと並んで引けを取らないほどのトム・ハンクスの演技が最高の一品でございます。説明書きにもあるように「ギャング映画」とはあるものの、いわゆるダークでねちねちしたような部分はない。と、言っても殺害シーンは多々ある。それもえげつないほどの描写ではない。それほど暗い感じを受けないのは息子が出てくるせいだろうとは思うが、この映画には二人の父親が出てくる。ポール・ニューマンとトム・ハンクスなのだが、対照的な親として描かれている。もちろん子供も対照的だ。どちらの子供も親を愛していると言う点では同じだが、どうにもポール・ニューマンの息子は出来が悪いということで描かれる。やはり古今を問わず、子供は自分よりも、他の誰かをより愛していると感じた時、激しい憎悪と嫉妬とともにぐれるものだが、やはりこの映画の子供も見事にぐれている。ぐれている、という表現はぴったりではないかもしれないが、写し方もシナリオも嫉妬を描いている。
 一方、トム・ハンクスだが、子供がわりとさばさばしている。まあ、家族を殺されて逆に悲痛のどん底にいたのならば話はがらりと違ってくるのだろうが、そのさばさばしたところや振る舞いが逆に話しにユーモアを与えている。しかし、トム・ハンクスという役者さんは人に愛されるべくして生まれてきた役者のようにも思える。コメディーからシリアスまでなんでもこなしてしまうのですね。演技も相当細かく、人間味豊かで叙情的だ。動きだけであれだけできる役者もいない。
 最後の方でポール・ニューマンが雨の中で振り向くシーンがあったが、鳥肌が立った。最初映画館で見たときは、「ああ、この人は映画のために生まれてきた人なんだ」とつくづく思ったものだった。
 ジュード・ロウ。殺し屋の役で出てくる。「A.I.」でのジゴロ・ジョーやスターリングラードなどといったジュード・ロウを知っているのならばちょっとびっくりするかもしれない。猫背で髪が薄くて怪しげな死体写真家のこの役を見たならば、ジュード・ロウのイメージもがらりと変わるはず。不気味で、執拗な暗殺者に身の毛もよだつ思いがするであろう。彼の髪、わざわざ一本一本こまめに切って薄くしたそうだ。つまりズラ使用ではない。カツラで代用してもそれほど不自然には見えないはずなのだが、そこまでやる役者魂に感動した。途中のレストランでコーヒーに砂糖入れすぎですよ!どうやらこの暗殺者は甘党のようだ。
 最初と最後のシーンで同じセリフが使われる。子供が親を見る視点は同じで「尊敬の念」がある。が、子供が自分自身を見る目が違うように思える。父を誇りに思うのか、それとも邪魔っぽく思うか。何故違ってきてしまったのだろうと、対照の親子を描く映画を見るときにいつも考えてしまう。父親はそこにいるというよりも、もっと子に対して示唆を与えるべきなのではないのか。尊敬すべき親がこの心に宿ると子は立派に育つと思う。最初と最後のセリフの意味を深く考えておきたい。
 役者の演技が相当細かいので注意して演技を見ていないと感情表現の多くを見逃すが、それだけにこの映画の凄いところは「細かな動き」で「感情」を魅せているところだ。それをセリフに凝縮させている。
posted by ハヤブサ at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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