2006年01月24日

「脳」整理法

発行:ちくま新書

わかれば納得!
 読むとだんだん快感になってくる現代への脳整理法。

 科学の視点により、世界の仕組みと個人の生活から学ぶ知恵とその間にある偶然という三つの視点から、溢れ出す情報公害への対処法を学ばせてくれる。また、情報を整理することによって個人のあり方も提言する。現代人目からうろこの必読の書。

 最初はひどく小難しく、理解できそうで、できないでいたのだが、途中からわかりはじめて、とてもすっきりしたし、考えることが非常に多かった本。オーラ本クラスのよい本。この本独自の専門的な用語が数多く出たり、科学の専門用語が出るので、整理をしていかなければ、あとに続く文章が理解できなかったりするので、一回読んでよくわからなかった人は何度も読み返してみるといい。たぶん、「アハ!」となるだろう。新しいひらめきが得られることを保障します。

  この本の中で一番整理しなければならない言葉は「生活知」と「世界知」と「偶有生」。順に説明すると、生活知は普通に生活して身近な体験などから得ていく知恵や知識のことで、世界知はいろんなことの仕組みや科学の分野で割り切れるマニュアル的なものと言えばいいだろうか。そして偶有性とは確率的な偶然を省いた偶然。これから何が起こるかわからない偶然性のことを指している。この三つのキーワードが一番重要なポイントでまずこの言葉を理解しないと、ちんぷんかんぷんになる。

 それで、内容をかいつまんで言うと、重要な要素は、上で説明した三つのバランスが必要だということが強調されている。人の人生を考えてみるに、生まれてから生きるために赤ちゃんは泣いたり笑ったりしながら(生活知)親に生き延びさせてもらう。当然未来に起こることは予期できないという点で偶然性に人は一生見舞われる(偶有性)。それで生きるうえで勉強などをして世の中や物事の仕組みを知ることに何のメリットがあるのかといったら、やっぱり偶然性の中を生きているのだから、チャンスなどの偶然に見舞われたとき、それをものにする能力や、危険を回避する能力や、未来への偶然を生かす能力を世の仕組みや物事の仕組みを知ることによって人生を有意義に生きられるということである。と言っても、情報も所謂「生活知」とは言えず、他人から与えられ完成されたものであるから一種の「仕組み」とも言える。結局、私自身何が言いたいかというと、特に都会に生きていれば「自分が生で感じたり経験したりして仕入れた情報」というものが全体の情報に比べてあまりにも少ないということにはっと気がつかされる。そして、それ以上に重要なことは、その「他人から与えられた情報に振り回されすぎている」ということ。今よく考えて欲しいのは、「自分自身で得たものは何があるだろう」ってこと。そして自分ができることとできないことを混同しすぎて、自分ができないことまで努力で何とかなると勘違いしていること。

 特に目からうろこだったのは「自分がコントロールできるもの」と「自分がコントロールできないもの」の区別の発想。よく考えてみると他者はコントロールできないわけです。他人から与えられる情報もそうです。他人のことなんだから。するとコントロール可能なものは、自分自身に制限されます。言葉の問題でもありますが、今まで「他人がどうこう」というものが、「私はどうこうされて、こう感じた」というものに置き換えられるわけです。今まで他人のせいにしていたものが、他人を「絶対コントロール不可能な存在」として考えることによって、主体性が自分に戻ってくるわけです。「あいつがこうだから」という発想が消えてくるのですね。そうすると、「コントロール可能な自分に対して自分はどのようにしていくか」が見えてきて、「自分が何をすべきか」が見えてきます。意外に選択権を完全に自分に戻すことによって、他人に振り回されていた自分に気がつかされます。逆に振り回していたことにも気がつかされます。この過程での、物事の整理は論理思考の過程でも重要になってきます。

 他者と自分を区別することによって、出すぎた自分も抑えることができます。自己と他者を区別することから、私の心、あなたの心という区別がはっきりでき、他者を思いやる心から公共性も育まれると書いてありました。自分がアプローチしても自分の思い通りにいかずにいらいらしていたらそれは他人をコントロールできると思い上がっているのではないでしょうか。

 大事なのは学ぼうとする興味と、物事に飲まれないために頭を整理すること。将来の偶然性に対して備えていくこと。そんなことが重要なのだと思います。特に情報化の時代にきちんと自分と他者を区別しておく思考法を身につけておかなければそれこそ潰れてしまうように思えてなりません。

 本の中には『生きて死ぬ智慧』『方丈記』『草枕』『ゲーデルの論理思考』などなどありますが、ご興味のある方は、『生きて死ぬ智慧』と『ゲーデル』についてはぜひ、お勧めします。
posted by ハヤブサ at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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